《熱》〈課目Ⅱ〉[問題5](1)熱力学の基礎 液体の状態変化とP-v線図に関する知識問題

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【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)
\[
\begin{eqnarray}
\end{eqnarray}
\]  次の各文章の\( \ \boxed {   1\strut   } \ \)~\( \ \boxed {   7\strut   } \ \)の中に入れるべき最も適切な字句等をそれぞれの解答群から選び、その記号を答えよ。なお、\( \ \boxed {   1\strut   } \ \)は複数箇所あるが、同じ記号が入る。

(1) 図は、ある物質の状態変化を飽和液線と飽和蒸気線と合わせて\( {P-v } \)線図に示したものである。ここで、\( { P} \)は圧力、\( {v } \)は比体積を示す。図中の\( \mathrm {a~d}\)は液体あるいは蒸気の状態点を示し、初期の\( {a} \)は液体の状態である。

1) 図に示すように、\( \mathrm {a}\)から、圧力一定の下で加熱すると、液体の温度は上昇して\( \mathrm {b}\)に達し、蒸気が発生し始める。さらに加熱すると、徐々に蒸気の割合が増加し、\( \mathrm {c}\)に至るとすべて蒸気となる。\( \mathrm {b}\)と\( \mathrm {c}\)の間では温度は一定となるが、この温度を\( \ \boxed {   1\strut   } \ \)という。また、\( \mathrm {a}\)から\( \mathrm {b}\)の間の液体(\( \mathrm {b}\)は除く)を圧縮液と呼び、\( \mathrm {b}\)の状態の液体を\( \ \boxed {   2\strut   } \ \)と呼ぶ。\( \mathrm {c}\)の状態の蒸気は\( \ \boxed {   3\strut   } \ \)と呼ばれている。\( \mathrm {b}\)と\( \mathrm {c}\)の間(\( \mathrm {b}\)、\( \mathrm {c}\)は除く)の状態の蒸気を\( \ \boxed {   4\strut   } \ \)と言う。\( \mathrm {c}\)からさらに加熱すると、蒸気の温度は上昇する。このような、温度が\( \ \boxed {   1\strut   } \ \)より高い蒸気を\( \ \boxed {   5\strut   } \ \)という。

<\( \ \boxed {   1\strut   } \ \)~\( \ \boxed {   5\strut   } \ \)の解答群>
\[
\begin{eqnarray}
&ア& 圧縮液      &イ& 過熱液      &ウ& 膨張液     &エ&飽和液       \\[ 5pt ] &オ& 過熱温度      &カ& 絶対温度   &キ& 飽和温度    &ク & 過熱蒸気      \\[ 5pt ]&ケ& 乾き飽和蒸気  &コ& 湿り蒸気    &&        &&\\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

2) 図に示すように、圧力一定の下で加熱するとき、加熱に使用した熱量は、\( \ \boxed {   6\strut   } \ \)変化として求めることができる。

3) \( \mathrm {b}\)と\( \mathrm {c}\)の間の蒸気の比エンタルピー\( {h} \)は、\( \mathrm {b}\)の比エンタルピー\( h_{b} \)と\( \mathrm {c}\)の比エンタルピー\( h_{c} \)及び乾き度\( {x} \)を用いて、式\( {h=} \)\( \ \boxed {   7\strut   } \ \)として求めることができる。

<\( \ \boxed {   6\strut   } \ \)及び\( \ \boxed {   7\strut   } \ \)の解答群>
\[
\begin{eqnarray}
&ア& h_{\mathrm{b}}+x\left(h_{\mathrm{c}}-h_{\mathrm{b}}\right) && &イ& h_{\mathrm{c}}+x\left(h_{\mathrm{c}}-h_{\mathrm{b}}\right)  \\[ 5pt ] &ウ& h_{\mathrm{b}}+(1-x)\left(h_{\mathrm{c}}-h_{\mathrm{b}}\right) && &エ& h_{\mathrm{c}}+(1-x)\left(h_{\mathrm{c}}-h_{\mathrm{b}}\right) \\[ 10pt ] &オ& \text{エンタルピー} &カ& \text{エントロピー}     &キ& \text{圧力}      &ク& \text{温度} \\[ 5pt ] &ケ& \text{比体積} & & & & & &
\end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

液体の状態変化と\( {P-v } \)線図に関する知識問題です。課目\( {Ⅳ } \)のボイラーに関する基礎ともなる問題となっています。(7)は少し応用要素となっていますが、それ以外は確実に取っておきたい問題と言えます。

1.液体の状態変化の\( {P-v } \)線図
水などの液体が蒸発するまでの過程を、圧力:\( { P} \)と比体積:\( {v } \)で表したものを\( {P-v } \)線図と言います。


\[
\Large \textbf{図1}
\]

縦軸で上に行くほど圧力が高くなり、横軸で右に行くほど比体積(\( \mathrm {1kg}\)あたりの体積)が大きくなることを表しています。一定の圧力のもと、加熱した時の状態変化を表す線を等圧線と言い、右に行くに連れて液体から蒸気へ状態変化します。その過程を、水の加熱を例に説明します。

\( \underline{\mathrm{圧縮液}} \)
\( \mathrm {a}\)点~\( \mathrm {b}\)点直前の時で、蒸気が混ざっていない常温又は加熱中の水の状態です。

\( \underline{\mathrm{飽和液}} \)
飽和液線と交差した\( \mathrm {b}\)点の時で、沸騰する直前の水の状態です。

\( \underline{\mathrm{湿り蒸気}} \)
\( \mathrm {b}\)点を超え\( \mathrm {c}\)点直前の時で、沸騰中の水と蒸気が混ざった状態です。この時はいくら熱を与えても温度が上がらない為、飽和温度と呼ばれています。

\( \underline{\mathrm{乾き飽和蒸気}} \)
飽和蒸気線と交差した\( \mathrm {c}\)の時で、水が全て蒸発し切る瞬間の状態です。液体がゼロで全て気体の状態の為、乾き飽和蒸気と呼ばれています。

\( \underline{\mathrm{過熱蒸気}} \)
\( \mathrm {c}\)点の乾き飽和蒸気から更に加熱させた状態です。\( \mathrm {c}\)点を超えて加熱させると、温度が上昇し始めます。過熱蒸気は、火力発電のタービン回転に利用されます。

圧力が上昇するに連れて等圧線は上に行きます。この時に液体を加熱させ、臨界点と等圧線が交差する時、湿り蒸気になることなく一気に蒸気に変化します。

2.乾き度
乾き度とは、湿り蒸気内にある乾き蒸気の質量割合のことを言います。

\[
\begin{eqnarray}
\text{乾き度 } x &=& \frac{\text{乾き飽和蒸気の質量[kg]}}{\text{乾き飽和蒸気の質量[kg]} + \text{水滴の質量[kg]}}\\[ 5pt ] &=& \frac{\text{乾き飽和蒸気の質量[kg]}}{\text{湿り蒸気全体の質量[kg]}}\\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【解答】

1) 解答

(1) キ
題意より解答候補は、(オ)過熱温度、(カ)絶対温度、(キ)飽和温度になると思います。
ワンポイント解説1の通り、\( \mathrm {b}\)と\( \mathrm {c}\)の間の温度は飽和温度と呼ばれ、この時は温度が一定となります。
また、この時に与えられる熱量は潜熱、\( \mathrm {a}\)から\( \mathrm {b}\)と\( \mathrm {c}\)点を超えてから温度上昇する時に与えられる熱量は顕熱であることも一緒に覚えておきましょう。

(2) ェ
題意より解答候補は、(ア)圧縮液、(イ)過熱液、(ウ)膨張液、(エ)飽和液になると思います。
ワンポイント解説1の通り、\( \mathrm {b}\)の状態の液体は飽和液と呼ばれます。圧縮液は問題文に書いてある通り、\( \mathrm {a}\)から\( \mathrm {c}\)の間の液体(\( \mathrm {b}\)は除く)の時です。

(3) ケ (4) コ (5) ク
題意より解答候補は、(ク)過熱蒸気、(ケ)乾き飽和蒸気、(コ)湿り蒸気、になると思います。
ワンポイント解説1の通り、\( \mathrm {c}\)の状態の蒸気は乾き飽和蒸気、\( \mathrm {b}\)と\( \mathrm {c}\)の間(\( \mathrm {b}\)、\( \mathrm {c}\)は除く)の状態の蒸気は湿り蒸気、\( \mathrm {c}\)からさらに加熱させることで発生する蒸気は過熱蒸気と呼ばれます。

2) 解答

(6) オ
題意より解答候補は、(オ)エンタルピー、(カ)エントロピー、(キ)圧力、(ク)温度、(ケ)比体積、になると思います。圧力一定(等圧)においてエネルギーが移動することで加熱することから、エンタルピー変化とみなすことができます。
前問である問題4の内容が理解できていれば、自ずとこの問題も解けたかと思います。

3) 解答

(7) ア
\( \mathrm {b}\)と\( \mathrm {c}\)の間である湿り蒸気の比エンタルピー\( {h} \)を求める問題です。


\[
\Large \textbf{図2}
\]

結論から説明しますと、解答は\(h_{\mathrm{b}}+x\left(h_{\mathrm{c}}-h_{\mathrm{b}}\right)\)となります。
選択肢に無いですが一見すると、「湿り蒸気(\( \mathrm {b}\)点と\( \mathrm {c}\)点の差)の比エンタルピー\(h_{\mathrm{c}}-h_{\mathrm{b}}\)になるのでは?」と思うことでしょう。
まず\( \mathrm {b}\)には、顕熱によって飽和液になるまでに得た比エンタルピー\( h_{b} \)がペースとして存在しています。
\( \mathrm {b}\)~\( \mathrm {c}\)間で、潜熱によって\(x\left(h_{\mathrm{c}}-h_{\mathrm{b}}\right)\)を得ることで乾き蒸気が生成されます。
これらを足すことで、\(h_{\mathrm{b}}+x\left(h_{\mathrm{c}}-h_{\mathrm{b}}\right)\)となります。