《熱》〈課目Ⅱ〉[問題6](1)流体工学の基礎 流体測定機器の原理に関する知識及び計算問題

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【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)
\[
\begin{eqnarray}
\end{eqnarray}
\]  次の各文章の\( \ \boxed {   1\strut   } \ \)~\( \ \boxed {   4\strut   } \ \)の中に入れるべき最も適切な字句等をそれぞれの解答群から選び、その記号を答えよ。なお、\( \ \boxed {   1\strut   } \ \)は複数箇所あるが、同じ記号が入る。

(1) 図\( 1 \)に示すように、ゆるやかに縮小した後、徐々に拡大するような管を\( \ \boxed {   1\strut   } \ \)管と呼ぶ。ここで、断面積が最小となる部分をのど部という。この\( \ \boxed {   1\strut   } \ \)管では、縮小直前の直管部\( \mathrm {A}\)点 (圧力\( p_{A} \mathrm { [Pa] }\) )とのど部\( \mathrm {B}\)点 (圧力\( p_{B} \mathrm { [Pa] } \) ) での圧力差( \( p_{A} \, – \, p_{B} \) ) を測定することにより、流量を求めることができる。この測定原理は、流体のエネルギー保存を表す\( \ \boxed {   2\strut   } \ \)の式によるものである。
 いま、図のように圧力差の測定にマノメータを用いて、流体の流量を求めることを考える。ここで、測定対象の流体は水で、マノメータ内部に水とは混ざらず、密度が水より大きい液体\( \mathrm {C}\)が入っているものとし、水の密度を\( \rho_{w} \mathrm { \, [kg/m^3] }\)、液体\( \mathrm {C}\)の密度を\( \rho_{c} \mathrm { \, [kg/m^3] }\)、マノメータの読み値を\( \mathrm {H \, [m] } \)、重力の加速度を\( g \mathrm { \, [m/s^2] }\)とする。この条件でマノメータによって圧力差を計測すると、圧力差( \( p_{A} \, – \, p_{B} \) ) = \( \ \boxed {   3\strut   } \ \)\( \mathrm { [Pa] }\)と表される。さらに、この式からマノメータの読み値を大きくして測定精度を上げるためには、液体\( \mathrm {C}\)と水の密度差を\( \ \boxed {   4\strut   } \ \)すればよいことが分かる。

<\( \ \boxed {   1\strut   } \ \)~\( \ \boxed {   4\strut   } \ \)の解答群>
\[
\begin{eqnarray}
&ア&  \rho_{c}gH    &イ& (\rho_{c}-\rho_{w})H    &ウ& (\rho_{c}-\rho_{w})gH  &エ& オリフィス \\[ 5pt ] &オ& ベンチュリ      &カ& ブルドン   &キ& ベルヌーイ    &ク & ニュートン \\[ 5pt ]&ケ& レイノルズ  &コ& 大きく    &サ& 小さく        &&\\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

流体測定機器の原理に関する問題です。知識だけでなく、流体のエネルギー保存則を表す計算力も要求される問題になっています。工場や発電所などの現場でお仕事をされている方で、職場に流量計が設置して有りましたら、普段の業務中に原理や構造をイメージすることで一気に理解が深まることでしょう。

1.流体のエネルギー保存
管内の流体のエネルギー保存を表す式として、ベルヌーイの式が有ります。


\[
\Large \textbf{図2}
\]

流体が持つ位置エネルギー・運動エネルギー、圧力エネルギーを足した全エネルギーが、管内のどの部分も一定であることを表しています。

質量:\( m \)、重力加速度\( g \)、高さ:\( H \)、速度:\( v \)、体積:\( V \)、密度:\( \rho \)とし、各エネルギーの式とベルヌーイの式を表します。
\[
\begin{eqnarray}
\text{位置エネルギー} &=& mgH \\[ 5pt ] \text{運動エネルギー} &=& \frac{1}{2}mv^2 \\[ 5pt ] \text{圧力エネルギー} &=& pV
\end{eqnarray}
\]

\[
\begin{eqnarray}
\text{ベルヌーイの式} \\
mgH + \frac{1}{2}mv^2 + pV &=& \text{一定}・・・・・・・・・➀ \\[ 5pt ] mgH + \frac{1}{2}mv^2 + p\frac{m}{\rho} &=& \text{一定}・・・・・・・・・➁ \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] ➁式の全項に、\( \dfrac{\rho}{m} \)を掛け、圧力エネルギーの項を\( p \)のみにします。
\[
\begin{eqnarray}
\rho gH + \frac{1}{2}ρv^2 + p ・・・・・・・・・➂ \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

2.測定機器の種類

\( \underline{\mathrm{オリフィス管}} \)
配管内にオリフィス板というドーナツ型の穴が空いている板と、前後にマノメータが設置してあります。
流体が狭くなっている穴を通ることで、ベルヌーイの定理による圧力差が生じます。圧力差により、マノメータ内の液体が上下に移動し、その高さで流量を測定します。

\[
\Large \textbf{図3}
\]

《特徴》
・オリフィス板により極端に狭くなる箇所がある為、下記のベンチュリ管に比べて圧力損失が大きい
・適用流体が気体と液体のみ
・省スペースで設置コストが少ない

\( \underline{\mathrm{ベンチュリ管}} \)
構造は、図\( 1 \)の通りです。配管内に人間の喉のように細くなっているのど部があり、その前後の配管下部にマノメータが設置してあります。オリフィス板と同じ原理で圧力差により、流量を測定します。

《特徴》
・オリフィス管と比べて表面が滑らかで、圧力損失が少ない
・固形物が混ざった液体やスラリーにも対応しており、適用流体も多い
・構造が複雑で設置スペースが大きく、コストが掛かる

\( \underline{\mathrm{ブルドン管}} \)
圧力計の一種です。円状の金属管下部に圧力がかかることで、管が上に押し出され、先端にある摺動部が上下することで、計の針が振れ、圧力を測定します。


\[
\Large \textbf{図4}
\]

【解答】

(1) オ
題意より解答候補は、(エ)オリフィス、(オ)ベンチュリ、(カ)ブルドンになると思います。
ワンポイント解説2の通り、ベンチュリ管となります。

(2) キ
題意より解答候補は、(キ)ベルヌーイ、(ク)ニュートン、(ケ)レイノルズになると思います。
ワンポイント解説1の通り、流体のエネルギー保存はベルヌーイの式によって表されます。

(3) ウ
ワンポイント解説1の➂式に問題文と図\( 5 \)の各記号を当てはめて、マノメーター内の状態をベルヌーイの式で表します。


\[
\Large \textbf{図5}
\]

\[
\begin{eqnarray}
\rho_{w}g(H + H’) + \frac{\rho_{w}v^2}{2} + p_{A} &=& \rho_{w}gH’ + \rho_{c}gH + \frac{(\rho_{w}+\rho_{c})v^2}{2} + p_{B} \\
\end{eqnarray}
\]

マノメーター内の流速\( v \)は\( 0 \)なので、
\[
\begin{eqnarray}
\rho_{w}g(H + H’) + p_{A} &=& \rho_{w}gH’ + \rho_{c}gH + p_{B} \\[ 5pt ] \rho_{w}gH + \rho_{w}gH’ + p_{A} &=& \rho_{w}gH’ + \rho_{c}gH + p_{B} \\[ 5pt ] \rho_{w}gH + p_{A} &=& \rho_{c}gH + p_{B} \\[ 5pt ] p_{A} – p_{B} &=& \rho_{c}gH – \rho_{w}gH \\[ 5pt ] &=& (\rho_{c} – \rho_{w})gH \mathrm { [Pa] } \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] よって圧力差は、\((\rho_{c} – \rho_{w})gH \) \( \mathrm { [Pa] } \)と表されます。

(4) サ
(3)の答えの式を変形すると、
\[
\begin{eqnarray}
p_{A} – p_{B} &=& (\rho_{c} – \rho_{w})gH \\[ 5pt ] H &=& \dfrac{p_{A} – p_{B}}{(\rho_{c} – \rho_{w})g} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

となり、読み値\( \mathrm {H} \)は密度差\( (\rho_{c} – \rho_{w}) \)に反比例します。
よって、密度差を小さくすることで測定精度は上がります。