《熱》〈課目Ⅳ〉[問題11](2)計測及び制御 流速計の測定原理に関する知識問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)
\[
\begin{eqnarray}
\end{eqnarray}
\] 次の各文章の\( \ \boxed {   5\strut   } \ \)~\( \ \boxed {   8\strut   } \ \)の中に入れるべき最も適切な字句等をそれぞれの解答群から選び、その記号を答えよ。

(2) 流速計には様々な原理を用いたものがあるが、流体のエネルギー保存に基づいたものとして、
流体の\( \ \boxed {   5\strut   } \)を測定し、その差である動圧と流体の\( \ \boxed {   6\strut   } \)から流速を求める\( \ \boxed {   7\strut   } \)式
流速計がある。測定した差圧が\( 2 \)倍になると、流速は\( \ \boxed {   8\strut   } \)倍になっている。
 
<\( \ \boxed {   5\strut   } \ \)~\( \ \boxed {   8\strut   } \ \)の解答群>

\[
\begin{array}{l}
\rlap{\text{ア} \quad \text{\( \sqrt{2} \)}}\hspace{233px}\rlap{\text{イ} \quad \text{\( 2 \)}}\hspace{233px}\rlap{\text{ウ} \quad \text{\( 4 \)}}\hspace{233px} \\[5pt] \rlap{\text{エ} \quad \text{ゲージ圧と絶対圧}}\hspace{233px}\rlap{\text{オ} \quad \text{正圧と負圧}}\hspace{233px}\rlap{\text{カ} \quad \text{全圧と静圧}}\hspace{233px} \\[5pt] \rlap{\text{キ} \quad \text{ピトー管}}\hspace{233px}\rlap{\text{ク} \quad \text{ブルドン管}}\hspace{233px}\rlap{\text{ケ} \quad \text{ベンチュリ管}}\hspace{233px} \\[5pt] \rlap{\text{コ} \quad \text{温度}}\hspace{233px}\rlap{\text{サ} \quad \text{湿度}}\hspace{233px}\rlap{\text{シ} \quad \text{密度}}\hspace{233px}
\end{array}
\]

【ワンポイント解説】

1.ベルヌーイの定理

\[
\Large \textbf{図1}
\]

ベルヌーイの定理は、流体が持つ全エネルギーが管内のどの部分も一定であるエネルギー保存則を表したものです。
図\( 1 \)で言うと、\( \mathrm {A・B} \)各地点を流れる流体が持つエネルギーは、それぞれ等しいです。

ベルヌーイの定理を、下記のように式で表します。
質量:\( m \)、重力加速度\( g \)、高さ:\( H \)、速度:\( v \)、体積:\( V \)、密度:\( \rho \)、圧力:\( P \)

\[
\begin{eqnarray}
\text{ある地点の全エネルギー} &=& \text{位置エネルギー} + \text{運動エネルギー} + \text{圧力エネルギー} \\[5pt] &=& mgH + \dfrac{1}{2}mv^2 + PV \\[5pt] &=& \rho g H + \dfrac{1}{2} \rho v^2 + P \\[5pt] \end{eqnarray}
\]

2.圧力の種類

\( \underline{\mathrm{静圧: P_{s} }} \)
空間内にもともと留まっている圧力のことを言います。

\( \underline{\mathrm{動圧 : P_{d} }} \)
流体の運動エネルギーによって、押し出される(又は吸引される)ことで変動する圧力のことを言います。
現場の圧力計の数値が振れた時が、まさに動圧状態です。

\( \underline{\mathrm{全圧:P_{d} }} \)
静圧と動圧を足した圧力です。空間内に留まっている圧力に対して、動圧で押し出すことでかかる圧力です。

上記3つの圧力の関係を式で表すと、
\[
\begin{eqnarray}
P_{d} &=& P_{d} – P_{s} \\[5pt] \end{eqnarray}
\] となります。

\( \underline{\mathrm{絶対圧力 }} \)
真空空間\( \mathrm {0Pa} \)を基準にした圧力のことを言います。

\( \underline{\mathrm{ゲージ圧 }} \)
絶対圧力から大気圧を引いた圧力です。圧力計では、この値が表示されます。

\( \underline{\mathrm{正圧 }} \)
大気圧よりも高い圧力のことを言います。空間内の流体に正圧が掛かると、外に追い出そうと圧が働きます。

\( \underline{\mathrm{負圧 }} \)
大気圧よりも低い圧力のことを言います。空間内の流体に正圧が掛かると、外から吸い込もうと圧が働きます。

3.ピトー管

\[
\Large \textbf{図2}
\] ピトー管は管内で起きるベルヌーイの定理を利用して、気体・液体の流速を計測する機器です。図\( 2 \)のように二重の管で構成されており、流体が流れてない時は、管内は静圧のみとなっています。
外部から➀に流体が流れることで静圧を押し出す形となり、➁に全圧:\( P_{t} \)が掛かります。その時に変動した圧力(動圧)から流速を算出します。
ピトー管内のエネルギーの分布として、
地点➀では、\( \dfrac{1}{2} \rho v^2 + P_{s} \)
地点➁では、\( P_{t} \)
となります。
各地点のエネルギーは、以下の関係となります。

\[
\begin{eqnarray}
\text{地点➀のエネルギー} &=& \text{地点➁のエネルギー} \\[5pt] \dfrac{1}{2}\rho v^2 + P_{s} &=& P_{t} \\[5pt] \end{eqnarray}
\]

【解答】

(5) カ
題意より解答候補は、(エ)、(オ)、(カ)になると思います。ワンポイント解説\(2\)の通り、全圧と静圧 を測定することで、それらの差となる動圧を算出します。

(6) シ
題意より解答候補は、(コ)、(サ)、(シ)になると思います。ワンポイント解説\(1\)の通り、ベルヌーイの定理での運動エネルギーを算出するのに、密度 \( \rho \)が使用されます。

(7) キ
題意より解答候補は、(キ)、(ク)、(ケ)になると思います。ワンポイント解説\(3\)の通り、ピトー管 は、全圧と静圧の差である動圧と、流体の密度から流速を求めます。
なお、ブルドン菅は圧力、ベンチェリ管は流量を計測します。これらの解説は同年度課目Ⅱ問6(1)をご参照ください。

(8) ア
題意より解答候補は、(ア)、(イ)、(ウ)になると思います。ワンポイント解説\(3\)のベルヌーイの式を元に流速:\( v \)を求めます。

\[
\begin{eqnarray}
\dfrac{1}{2} \rho v^2 + P_{s} &=& P_{t} \\[5pt] \dfrac{1}{2} \rho v^2 &=& P_{t} – P_{s} \\[5pt] v^2 &=& 2 \dfrac{P_{t} – P_{s}}{\rho} \\[5pt] v &=& \sqrt{2 \dfrac{P_{t} – P_{s}}{\rho}} \\[5pt] \end{eqnarray}
\]

ここで差圧を\( 2 \)倍した時の流速を\( v’ \)とし、\( v \)との関係を求めると、

\[
\begin{eqnarray}
\dfrac{v’}{v} &=& \dfrac{\sqrt{2 \dfrac{2(P_{t} – P_{s})}{\rho}}}{\sqrt{2 \dfrac{P_{t} – P_{s}}{\rho}}} \\[5pt] &=&\sqrt{2}
\end{eqnarray}
\] となることから、流速は\( \sqrt{2} \) 倍に増加します。