【問題】
【難易度】★★★☆☆(普通)
\[
\begin{eqnarray}
\end{eqnarray}
\]
次の各文章の\( \ \boxed { 1\strut } \ \)~\( \ \boxed { 3\strut } \ \)の中に入れるべき最も適切な字句等をそれぞれの解答群から選び、その記号を答えよ。
(3) 高温の排ガスの熱を温水で回収する場合、熱交換の加熱面の排ガス側と受熱面の温水側の熱抵抗の値に大きな差が生じるので、伝熱板にフィンを付けて熱抵抗を減らした熱交換器を用いている。
1) フィンを付けて熱抵抗を減らすのは、熱抵抗の大きい\( \ \boxed { 8\strut } \)側の伝熱面である。
<\( \ \boxed { 8\strut } \ \)の解答群>
\[
\begin{array}{l}
\rlap{\text{ア} \quad \text{温水}}\hspace{350px}\rlap{\text{イ} \quad \text{排ガス}}\hspace{350px}
\end{array}
\]
2) 伝熱板の片側にフィンを付けたときの熱通過率\( K \)と単位面積当たりの熱抵抗の関係は、次の式のようになる。
\[
\begin{eqnarray}
\dfrac{1}{K} &=& \ \boxed { 9\strut } + \dfrac{l}{\lambda} + \ \boxed { 10\strut } \\[5pt]
\end{eqnarray}
\]
ここで、伝熱板の厚さを\( l \)、フィンの付いていない側の伝熱面積を\( A \)、熱伝達率を\( \alpha _{1} \)、フィンを付けた側の熱伝達率を\( \alpha _{2} \)、フィン表面の面積を\( A_\mathrm{f} \)、フィンの付いていない部分の面積を\( A_\mathrm{b} \)、フィン効率を\( \eta _\mathrm{f} \)、伝熱板及びフィンの材料は同じ材料としてその熱伝導率を\( \lambda \)とする。
<\( \ \boxed { 9\strut } \ \)~\( \ \boxed { 10\strut } \ \)の解答群>
\[
\begin{array}{l}
\rlap{\text{ア} \quad \dfrac{1}{\alpha _{1}}}\hspace{233px}\rlap{\text{イ} \quad \dfrac{1}{\alpha _{2}}}\hspace{233px}\rlap{\text{ウ} \quad \left( \dfrac{1}{\alpha _{1}} \right) \dfrac{A_\mathrm{f}}{A(1 + A_\mathrm{f})}}\hspace{233px} \\[5pt]
\rlap{\text{エ} \quad \left( \dfrac{1}{\alpha _{2}} \right) \dfrac{A_\mathrm{f}}{A(1 + A_\mathrm{f})}}\hspace{233px}\rlap{\text{オ} \quad \left( \dfrac{1}{\alpha _{1}} \right) \dfrac{A_\mathrm{b}}{A_\mathrm{b} + \eta _\mathrm{f} A_\mathrm{b}}}\hspace{233px}\rlap{\text{カ} \quad \left( \dfrac{1}{\alpha _{2}} \right) \dfrac{A}{A_\mathrm{b} + \eta _\mathrm{f} A_\mathrm{f}}}\hspace{233px}
\end{array}
\]
【ワンポイント解説】
排ガスと温水の熱交換に関する知識及び計算問題です。計算問題に関しては、伝熱やフィンの予備知識の有無によって難易度が変わる問題と言えます。下記の解説をもとに、知識を身につけた上で臨むことをおススメします。
1.熱抵抗
熱抵抗は、熱の伝わりにくさを表す指標です。伝熱帯の表面積と熱伝導率又は熱伝達率に反比例し、長さに比例して大きくなります。電気の勉強をされてきた方は、電気抵抗と同じものだとイメージされると良いです。
各伝熱の抵抗を深掘りします。
\( \underline{\mathrm{熱伝導(伝導伝熱) }} \)
伝導伝熱は、同じ物の中で温度が高い所から低い所に熱が伝わる現象です。

\[
\Large \textbf{図1}
\]
熱抵抗:\( R \)は、熱伝導率:\( \lambda \, \mathrm{[W/(m\cdot K)]} \)、導体の厚み:\( l \mathrm{[m]} \)、伝熱面積:\( A \mathrm{[m^{2}]} \)とすると、
\[
\begin{eqnarray}
R &=& \dfrac{l}{\lambda A} \mathrm{[K/W]}
\end{eqnarray}
\]
となります。
\( \underline{\mathrm{熱伝達(対流伝熱) }} \)
液体や気体などの流体が、ある物体に熱を伝える現象のことを言います。

\[
\Large \textbf{図2}
\]
熱抵抗:\( R \)は、熱伝達率:\( \alpha \, \mathrm{[W/(m^2\cdot K)]} \)、伝熱面積;\( A \mathrm{[m^{2}]} \)とすると、
\[
\begin{eqnarray}
R &=& \dfrac{1}{ \alpha A} \mathrm{[K/W]}
\end{eqnarray}
\]
となります。
熱伝導と違い、こちらは別物体への熱の移動なので、距離は考えません。
2.フィン
熱交換器に設置してあるフィンとは、熱交換を効率化する薄いヒレ状の部品です。気体は液体や固体と比べて、熱抵抗が大きいため、熱が伝わりにくいです。多数のフィンを敷き詰めて気体と触れる「伝熱面積」を広げることで、熱を吸収・伝達しやすくする役割を持っています。
身近な例として、家電のエアコンなどによく使われています。カバーを開けてフィルターを外すと、奥に金属の薄い板がズラッと並んでいるのが見えます。一度確認してみるとイメージしやすくなると思います。
出典:一般社団法人日本エアコンクリーニング協会
URL:https://www.j-aca.jp/column_material/05.html
【解答】
1) 解答
(8)イ
ワンポイント解説\(2\)の通り、フィンは熱抵抗の大きい気体の伝熱を補うために設置されます。解答群の中では、排ガス側の伝熱面に設置されます。
最低でもこの問題は、解けるようにしておいてください。
2) 解答
(9)ア (10)カ
解答に合わせるために一気に解こうとすると、とても大変です。
図\( 3 \)をもとに、➀フィンが付いていない側、②伝熱板・フィン、➂フィン側、の\( 3 \)部分の熱抵抗に分けて解いていきます。

\[
\Large \textbf{図3}
\]
\( \underline{\mathrm{《➀フィンが付いていない側の熱抵抗》 }} \)
この部分の熱抵抗を\( R_{1} \)とし、
\[
\begin{eqnarray}
R_{1} &=& \dfrac{1}{ \alpha_{1} A}・・・・・・・・・➀
\end{eqnarray}
\]
となります。
\( \underline{\mathrm{《②伝熱板・フィンの熱抵抗》 }} \)
伝熱板の伝熱面積を、➀の表面積と同じ\( A \mathrm{[m^{2}]} \)と見なします。
この部分の熱抵抗を\( R_{2} \)とし、
\[
\begin{eqnarray}
R_{2} &=& \dfrac{l}{\lambda A}・・・・・・・・・②
\end{eqnarray}
\]
となります。
\( \underline{\mathrm{《➂フィン側の熱抵抗》 }} \)
フィン表面で受けた熱の全ては、伝熱板内部に伝達しません。フィン表面から伝熱板に伝達させる実際の表面積:\( A_\mathrm{f}’ \)は、
\[
\begin{eqnarray}
A_\mathrm{f}’ &=& \eta _\mathrm{f} A_\mathrm{f}
\end{eqnarray}
\]
となります。
フィン側の熱は、フィンがついていない部分の表面とフィン表面から伝熱板に伝達するため、こちら側の表面積は、
\[
\begin{eqnarray}
A_\mathrm{b} + \eta _\mathrm{f} A_\mathrm{f}
\end{eqnarray}
\]
となります。
よって、フィン側の熱抵抗:\( R_{3} \)は、
\[
\begin{eqnarray}
R_{3} &=& \dfrac{1}{\alpha_{2}(A_\mathrm{b} + \eta _\mathrm{f} A_\mathrm{f})} \\[5pt]
&=& \left( \dfrac{1}{\alpha_{2}} \right) \dfrac{1}{A_\mathrm{b} + \eta _\mathrm{f} A_\mathrm{f}} ・・・・・・・・・➂ \\[5pt]
\end{eqnarray}
\]
となります。
➀~➂を足し、熱通過率\( K \)と単位面積当たりの熱抵抗の関係式を求めます。
※問題文の左辺では、\( \dfrac{1}{K} \)となってますが、この後の計算で合わせるべく\( \dfrac{1}{KA} \)とします。
\[
\begin{eqnarray}
\dfrac{1}{KA} &=& R_{1} + R_{2} + R_{3} \\[5pt]
&=& \dfrac{1}{ \alpha_{1} A} + \dfrac{l}{\lambda A} + \left( \dfrac{1}{\alpha_{2}} \right) \dfrac{1}{A_\mathrm{b} + \eta _\mathrm{f} A_\mathrm{f}} \\[5pt]
\end{eqnarray}
\]
問題文の式に合わせるため、各項に\( A \)を掛けます。
\[
\begin{eqnarray}
\dfrac{1}{K} &=& \dfrac{1}{\alpha_{1}} + \dfrac{l}{\lambda} + \left( \dfrac{1}{\alpha_{2}} \right) \dfrac{A}{A_\mathrm{b} + \eta _\mathrm{f} A_\mathrm{f}} \\[5pt]
\end{eqnarray}
\]
よって、\( \ \boxed { 9\strut } \) は\( \dfrac{1}{\alpha_{1}} \)、\( \ \boxed { 10\strut } \) は\( \left( \dfrac{1}{\alpha_{2}} \right) \dfrac{A}{A_\mathrm{b} + \eta _\mathrm{f} A_\mathrm{f}} \)となります。
公式解答では各項を上記の通り合わせるようになっていますが、個人的に順不動でも問題ないのかと思います。




