《熱》〈課目Ⅳ〉[問題15](1)熱交換器・熱回収装置 多感式熱交換器の構造に関する知識問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)
\[
\begin{eqnarray}
\end{eqnarray}
\] 次の各文章の\( \ \boxed {   1\strut   } \ \)~\( \ \boxed {   5\strut   } \ \)の中に入れるべき最も適切な字句等をそれぞれの解答群から選び、その記号を答えよ。なお、\( \ \boxed {   1\strut   } \ \)は複数箇所あるが、同じ記号が入る。

(1) 多管式熱交換器は、各種プラントにおいて一般的に用いられる熱交換器である。その形式は、図の概略の構造図 (a) ~ (c) に示すように、大きく三つの基本形式に分類される。

図の (a) ~ (c) のうち、胴の両側に\( \ \boxed {   1\strut   } \)を固定した固定\( \ \boxed {   1\strut   } \)式熱交換器の概略の構造図は\( \ \boxed {   2\strut   } \)である。この形式は、\( \ \boxed {   3\strut   } \)の部分が密閉されているために、その内部の検査や清掃が難しい。一般に、汚れが少ない方の流体を、清掃が難しい側に通すようにすると良い。

図の (a) ~ (c) のうち、伝熱管内外の清掃や検査を最も容易に行うことができるのは、構造図\( \ \boxed {   4\strut   } \)の形式の \( \ \boxed {   5\strut   } \)式熱交換器である。


\[
\Large \textbf{図 多管式熱交換器の概略の構造図}
\]

<\( \ \boxed {   1\strut   } \ \)~\( \ \boxed {   5\strut   } \ \)の解答群>

\[
\begin{array}{l}
\rlap{\text{ア} \quad \text{(a)}}\hspace{175px}\rlap{\text{イ} \quad \text{(b)}}\hspace{175px}\rlap{\text{ウ} \quad \text{(c)}}\hspace{175px}\rlap{\text{エ} \quad \mathrm{U}字管}\hspace{175px} \\[5pt] \rlap{\text{オ} \quad \text{多重管}}\hspace{175px}\rlap{\text{カ} \quad \text{バッフル板}}\hspace{175px}\rlap{\text{キ} \quad \text{管板}}\hspace{175px}\rlap{\text{ク} \quad \text{仕切り室}}\hspace{175px} \\[5pt] \rlap{\text{ケ} \quad \text{分岐室}}\hspace{175px}\rlap{\text{コ} \quad \text{胴}}\hspace{175px}\rlap{\text{サ} \quad \text{遊動頭}}\hspace{175px}\hspace{175px}
\end{array}
\]

【ワンポイント解説】

多管式熱交換器の構造に関する知識問題です。3~5年置きに関連問題が出題され、平成26年課目Ⅳ問題15(1)では酷似した問題が出題されています。熱交換器を取り扱うお仕事をされていないと、ピンときにくいかもしれません。そうであれば、まずは流体がどの部分に流れるのかを理解するところから始めることをおススメします。

1.多管式熱交換器の流体の流れ
多管式熱交換器は図\( 1 \)のように、胴内部と管内部にそれぞれ流体を流し、熱交換を行います。

\[
\Large \textbf{図1}
\]

2.固定管板式
名称の通り、管の両端を管板に固定してある最も簡単な構造をした熱交換器です。
長所として、構造がシンプルで低コストでの製造が可能なため、設置時のコストを抑えることができます。
短所として、胴体内部や管外部の点検や清掃が困難です。理由は、胴の両端を管板で密閉してある上、管を管板に溶接で固定してあるためです。そのため管の取り外しができなく、胴内部のメンテナンスが困難となります。対策として胴内部に流す流体は、腐食性が少なくて汚れにくい流体を流すようにする必要があります。また、管側と胴体側の流体で温度差が大きいと熱応力が発生してしまいます。対策として、胴の周りには伸縮継手を設置し、熱応力による伸縮を吸収する作りにしています。


出典:株式会社 日阪製作所 HP 熱交換器事業本部 WORKBOOK 熱交ドリル
URL:https://www.hisaka.co.jp/phe/workbook/first_period02.html

3.U字管板式
名称の通り、管が\( \mathrm{U} \)字の形状をしており、片側のみ管板と固定しています。
長所として、管の\( \mathrm{U} \)字側が固定されていない為、熱応力を逃がすことが可能です。また、管束を固定管板ごと取り外すことが可能なため、胴内部の点検や清掃が容易です。
短所として、管内部の\( \mathrm{U} \)字部分の清掃が困難です。そのため管側に流す流体は、固定管板式とは反対に、腐食性が少なくて汚れにくい流体を流すようにする必要があります。


出典:株式会社 日阪製作所 HP 熱交換器事業本部 WORKBOOK 熱交ドリル
URL:https://www.hisaka.co.jp/phe/workbook/first_period02.html

4.遊動頭式
管の片側を管板に固定し、もう片側を遊動頭板に固定した構造の熱交換器です。遊動頭板は熱膨張に応じて動き、熱応力を逃がすことができます。
長所として、多管式熱交換器の中で最も容易に点検や清掃が可能です。固定管板は胴とボルトとナットで固定してあるため、管束を固定管板ごと取り外すことが可能です。また、伸縮継手が無くても遊動頭板により、熱応力への対応が可能です。
短所として、構造が複雑で、設置コストが最も掛かります。


出典:株式会社 日阪製作所 HP 熱交換器事業本部 WORKBOOK 熱交ドリル
URL:https://www.hisaka.co.jp/phe/workbook/first_period02.html

【解答】

1) 解答

(1) キ
題意より解答候補は、(エ)、(オ)、(カ)、(キ)、(サ)になると思います。
ワンポイント解説\(2\)の通り、胴の両側に管板を溶接で固定した熱交換器は、固定管板式熱交換器となります。

(2) ア
題意より解答候補は、(ア)、(イ)、(ウ)になると思います。
固定管板式熱交換器の構造図は、(a)となります。慣れない内は(c)と見分けにくいかと思います。そうであれば、胴周りに伸縮継手が設置してやるかどうかで見分けても良いかと思います。

(3) コ
題意より解答候補は、(ク)、(ケ)、(コ)になると思います。
ワンポイント解説\(2\)の通り、固定管板式はの部分が密閉されている上、管板の両端が溶接で固定されています。そのため、内部の検査や清掃が困難です。

2) 解答

(4)ウ
題意より解答候補は、(ア)、(イ)、(ウ)になると思います。
ワンポイント解説\(4\)の通り、伝熱管内外の清掃や検査を最も容易に行うことができるのは、(c)の熱交換器となります。

(5)サ
題意より解答候補は、(エ)、(オ)、(キ)、(サ)になると思います。
ワンポイント解説\(4\)の通り、遊動頭式熱交換器となります。