《熱》〈課目Ⅱ〉[問題7](1)伝熱工学の基礎 伝導伝熱・対流伝熱・放射伝熱に関する知識問題

Contents

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)
\[
\begin{eqnarray}
\end{eqnarray}
\] 次の各文章の\( \ \boxed {   1\strut   } \ \)~ \( \ \boxed {   5\strut   } \ \)の中に入れるべき最も適切な字句等をそれぞれの解答群から選び、その記号を答えよ。なお、\( \ \boxed {   5\strut   } \ \)は複数箇所あるが、同じ記号が入る。

(1) 伝熱には、伝導伝熱、対流伝熱、放射伝熱という三つの形態がある。 

1) 伝導伝熱による熱流速は\( \ \boxed {   1\strut   } \ \)の式によって表される。熱の伝わりやすさを表す物性値を熱伝導率と呼び、一般的には金属、液体、気体の中では\( \ \boxed {   2\strut   } \ \)が最も大きい。断熱材を設計する上では、熱伝導率を小さくするため、グラファイト、樹脂、空気の中では\( \ \boxed {   3\strut   } \ \)を材料内に多く含むようにすることが重要である。

<\( \ \boxed {   1\strut   } \ \)~\( \ \boxed {   3\strut   } \ \)の解答群>
\[
\begin{array}{llllll}
ア\text{ }ニュートン & & イ\text{ }フーリエ & & ウ\text{ }ボルツマン & \\[5pt] エ\text{ }グラファイト \quad & オ\text{ }空気 \quad & カ\text{ }樹脂 \quad & キ\text{ }液体 \quad & ク\text{ }気体 \quad & ケ\text{ }金属
\end{array}
\]

2) 流れている液体と固体面との間の伝熱は対流伝熱であり、熱の伝わりやすさを表す係数を熱伝達率という。対流の熱伝達と静止している流体の熱伝導の比率に関する無次元数を\( \ \boxed {   4\strut   } \ \)という。

<\( \ \boxed {   4\strut   } \ \)の解答群>
\[
\begin{eqnarray}
&ア& ヌセルト数      &イ& プラントル数      &ウ& レイノルズ数 &&    \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] 3) 放射伝熱では、照射された電磁波を全て吸収する理想物体のことを\( \ \boxed {   5\strut   } \ \)と呼ぶ。一般の物体からの放射エネルギー量を、\( \ \boxed {   5\strut   } \ \)の場合の放射エネルギー量に、波長に依存しない一定の放射率を乗じて表すことがある。この場合、一般の物体を\( \ \boxed {   6\strut   } \ \)として扱ったことになる。

<\( \ \boxed {   5\strut   } \ \)及び\( \ \boxed {   6\strut   } \ \)の解答群>
\[
\begin{eqnarray}
&ア& 灰色体      &イ& 基準体      &ウ& 黒体      &エ& 標準物質    \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

伝導伝熱・対流伝熱・放射伝熱に関する知識問題です。これらは課目Ⅱだけでなく、Ⅰ、Ⅲ、Ⅳでも出題される重要な分野となります。今回は各伝熱の内容を問う問題でしたが、説明文からどの現象かを選ぶ問題も出題されます。各現象の違いなど区別できるようにしておきましょう。

1.伝導伝熱(熱伝導)
伝導伝熱とは、同じ物の中で温度が高い所から低い所に熱が伝わる現象のことを言います。
炉壁内での熱の移動や、料理でいうとフライパンでの加熱などがあります。

\[
\Large \textbf{図1}
\] この現象は下記のフーリエの式で表されます。
熱流束:\( q \, \mathrm{[W/m^2]}\)  熱伝導率:\( \lambda \, \mathrm{[W/(m\cdot K)]} \) 高温部の温度:\( \mathrm T_{H} \, \mathrm{[K]}\) 低温部の温度:\( \mathrm T_{L} \, \mathrm{[K]} \) 熱が移動する距離:\( \Delta t \, \mathrm{[m]} \) 温度差:\( \Delta \mathrm T \, \mathrm{[K]} \)
\[
\begin{eqnarray}
q &=& -\lambda \dfrac{\mathrm T_{L} – \mathrm T_{H}}{\Delta t} \mathrm{[W/m^2]} \\[5pt] &=& \lambda \dfrac{\Delta \mathrm T}{\Delta t} \mathrm{[W/m^2]} \\[5pt] \end{eqnarray}
\]

熱伝導率:\( \lambda \)は、物質ごとの熱の伝わりやすさを表します。
熱伝導率の大きさは一般的に、固体 \( \gt \) 液体 \( \gt \) 気体の順となっています。

2.対流伝熱(熱伝達)
液体や気体などの流体が、熱を伝える現象のことを言います。
熱交換器や空調、料理でいうと鍋料理の加熱などがあります。

\[
\Large \textbf{図2}
\] 流れている流体の熱伝達と、静止している流体の熱伝導の比率を表すのにヌセルト数: \( Nu \) があります。これは静止している時よりも何倍熱が逃げやすいかを表しており、前述の熱伝導の時は \( 1 \) となります。

この現象での熱流束:\( q \, \mathrm{[W/m^2]}\)は、ニュートンの冷却法則で表されます。
熱伝達率:\( h \, \mathrm{[W/(m^2\cdot K)]} \)とすると、
\[
\begin{eqnarray}
q &=& h \Delta \mathrm T \\[5pt] \end{eqnarray}
\] となります。
伝導伝熱⇒熱伝導率:\( \lambda \, \mathrm{[W/(m\cdot K)]} \)(長さに対する熱の伝わりやすさ)
対流伝熱⇒熱伝達率:\( h \, \mathrm{[W/(m^2\cdot K)]} \)(表面積に対する熱の伝わりやすさ)
がそれぞれ関係すると頭に入っていれば、区別しやすいと思います。

3.放射伝熱
放射伝熱は、赤外線などの電磁波による放射で熱を伝える現象のことを言います。
レーザー加熱や、料理でいうと炭火焼きの焼肉などがあります。

\[
\Large \textbf{図3}
\] この現象での熱流束:\( q \, \mathrm{[W/m^2]}\)は、ステファン・ボルツマンの法則で表されます。
ステファン・ボルツマン定数:\( \sigma \mathrm{[W/(m^2 \cdot K^4)]} \)  放射率:\( \varepsilon \) 絶対温度:\( \mathrm T \, \mathrm{[K]} \)とすると、
\[
\begin{eqnarray}
q &=& \sigma \varepsilon \mathrm T^4 \\[5pt] \end{eqnarray}
\] となります。

照射された全電磁波を吸収する理想物体のことを黒体と呼び、放射率は\( \varepsilon=1 \)である為、実質下記式で表されます。
\[
\begin{eqnarray}
q &=& \sigma \mathrm T^4 \\[5pt] \end{eqnarray}
\]

一般の物体の放射率は\( 1 \)未満です。この放射率を黒体の熱流束に乗じて補正したものを、灰色体と呼びます。「黒を薄めたら(放射率を乗じる)灰色になる」とイメージすると覚えやすいかと思います。

【解答】

1) 解答

(1) イ
題意より解答候補は、(ア)ニュートン、(イ)フーリエ、(ウ)ボルツマン、になると思います。
ワンポイント解説\( 1 \)の通り、伝導伝熱による熱流速はフーリエの式によって表されます。
対流伝熱はニュートンの式、放射伝熱はボルツマンの式で表されます。

(2) ケ
題意より解答候補は、(キ)液体、(ク)気体、(ケ)金属、になると思います。
ワンポイント解説\( 1 \)の通り熱伝導率の大きさは、固体 \( \gt \) 液体 \( \gt \) 気体の順であることから、金属が最も大きいです。

(3) オ
題意より解答候補は、(エ)グラファイト、(オ)空気、(カ)樹脂、になると思います。
こちらも、熱伝導率の大きさは、固体 \( \gt \) 液体 \( \gt \) 気体の順であることから、空気が最適です。身近なことでいうと、ダウンジャケットと同じ原理で、空気の層は断熱性に優れています。

2) 解答

(4) ア
ワンポイント解説\( 2 \)の通り、対流の熱伝達と静止している流体の熱伝導の比率に関する無次元数をヌセルト数といいます。
プラントル数は流体の動粘度と熱拡散率の比、レイノルズ数は流体が層流か乱流かを表す指標のことをいいます。

3) 解答

(5) ウ
ワンポイント解説\( 3 \)の通り、照射された電磁波を全て吸収する理想物体のことを黒体と呼びます。

(6) ア
ワンポイント解説\( 3 \)の通り、黒体に一定の放射率を乗じて表した一般の物体を、灰色体と呼びます。