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【問題】
【難易度】★★★☆☆(普通)
\[
\begin{eqnarray}
\end{eqnarray}
\]
次の各文章の\( \ \boxed { 9\strut } \ \)~\( \ \boxed { 16\strut } \ \)の中に入れるべき最も適切な字句等をそれぞれの解答群から選び、その記号を答えよ。なお、\( \ \boxed { 9\strut } \ \)、\( \ \boxed { 10\strut } \ \)及び\( \ \boxed { 12\strut } \ \)は複数箇所あるが、同じ記号が入る。
(1) 図\(2\)に示すように、吸込水面からある高さの位置に、水を輸送するポンプが設置されている場合について考える。
1) ポンプ吸い込み口の静圧については、吸込水面で保有していた圧力(大気圧)のエネルギーが、位置エネルギー、\( \ \boxed { 9\strut } \ \)、及び損失エネルギーに変化した分だけ、その圧力が大気圧よりも低くなる。ここで損失エネルギーとは、吸込管の流体摩擦や曲がり部による\( \ \boxed { 10\strut } \ \)を表す。水は羽根車の中に吸い込まれる時に羽根車によって加速されるので、羽根車入口部では\( \ \boxed { 9\strut } \ \)が増加した分だけさらに圧力が低くなる。
<\( \ \boxed { 9\strut } \ \)及び\( \ \boxed { 10\strut } \ \)の解答群>
\[
\begin{eqnarray}
&ア& 圧力損失 &イ& 温度損失 &ウ& 速度損失 \\[ 5pt ]
&エ& 運動エネルギー &オ& 有効エネルギー &カ& 運動量 \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
2) ポンプ吸込口の圧力が\( \ \boxed { 11\strut } \ \)圧力より高くても、羽根車入口部圧力(最低圧力)が\( \ \boxed { 11\strut } \ \)圧力に達し、\( \ \boxed { 12\strut } \ \)が発生すると、揚程が急激に低下して、系統に設置した流量調整弁を開いても流量が増大しなくなる。幾何学的に相似なポンプにおける\( \ \boxed { 12\strut } \ \)の発生条件は、\( \ \boxed { 13\strut } \ \)によって表すことができる。
<\( \ \boxed { 11\strut } \ \)~\( \ \boxed { 13\strut } \ \)の解答群>
\[
\begin{eqnarray}
&ア& キャビテーション &イ& サージング &ウ& チョーキング &エ& 水撃作用 \\[ 5pt ]
&オ& 旋回失速 &カ& ポンプ効率 &キ& 吸込比速度 &ク & 全揚程 \\[ 5pt ]&ケ& 定常 &コ& 飽和 &サ& 臨界 &&\\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
3) その他の運転上の注意としては、ポンプを揚程曲線(縦軸を全揚程、横軸を吐出し量とするグラフ)の吐出し量の\( \ \boxed { 14\strut } \ \)部分で運転すると、配管を含む自励振動(激しい脈動、振動)が発生し、ついには運転不能になることがある。これを\( \ \boxed { 15\strut } \ \)という。また、停電などによってポンプが急停止すると、管路の流速や圧力の急激な変化によって\( \ \boxed { 16\strut } \ \)が起こり、発生した高圧力によって、配管を破壊することもある。
\[
\begin{aligned}
& \begin{array}{llll} ア\text{ }キャビテーション & イ\text{ }サージング & ウ\text{ }水撃作用 & エ\text{ }旋回失速 \end{array} \\[ 5pt ]
& オ\text{ }増加に従い全揚程が増加する \\[ 5pt ]
& カ\text{ }増加に従い全揚程が減少する \\[ 5pt ]
& キ\text{ }増加によって全揚程が変化しない
\end{aligned}
\]
【ワンポイント解説】
ポンプ吸込時のベルヌーイの定理及び現象に関する知識問題です。1)はベルヌーイの定理が実際のポンプ運転時にどう影響するかを言語化した問題、2) 3)は各現象に関する問題となっております。計算式と各現象が結び付いていれば、合格圏内に近いと思いますので、並行して演習するようにしていきましょう。
1.キャビテーション
《現象》
配管内の液体内に小さな気泡が発生し、以下のことが発生します。
・発生した気泡が邪魔して、揚程の低下
→流量調整弁を開いても、流量が増大しなくなる
・気泡が圧力の高いところに移動すると、圧力で気泡が押しつぶされる
→その衝撃によって各設備の壊食を引き起こす
キャビテーションが進行すると、チョーキングが発生します。
《原因》
下記3点などの要因で、羽根車入口部圧力が飽和圧力よりも低下することでキャビテーションが発生します。
・流速上昇や羽根車回転速度上昇によって運動エネルギーの増大
→圧力が低下
・吸込水面に対し、羽根車入口部の位置が高過ぎる
→位置エネルギーが増大し、圧力が低下
・配管内壁や羽根車表面の摩擦による圧力損失の増大
《対策》
・流量調整弁を閉めて、流量を絞る
・羽根車回転速度を上げ過ぎない
・設計段階で配管内壁や羽根車表面を滑らかにする
・吸込水面に対し、羽根車入口部の位置を低くする
などがあります。
2.サージング
《現象》
一定の周期で吐出し圧力や流量が変動することで、配管全体の騒音や脈動・振動が発生します。それが続くと、ポンプの運転不能や故障を招きます。
《原因》

\[
\Large \textbf{図1}
\]
図\( 1 \)の揚程曲線より、右上がり領域で運転している時に流量が低下すると、揚程が低下します。そうすると更に流量が減り、揚程が低下し、それらを繰り返していくうちにポンプ圧力が配管の圧力に負けることで逆流し、サージングが発生します。
《対策》
安定状態である揚程曲線の右下がり領域に持っていくように、流量を上げていきます。その手段として、
・逃がし弁を開けてポンプの流量を上げる
・設計段階で配管抵抗が少なくなるようにする
などがあります。
3.水撃(ウォーターハンマー)
《現象》
管内を流れる流体の速度が急激に変化した時、逃げ場を失った流体は「まだ流そう」とする慣性エネルギーを持ちます。それがハンマーのような衝撃となって配管・バルブ・ポンプ本体を叩くことで異音・振動が起きます。そして設備の破裂や故障を招きます。
《原因》
バルブの急激な開閉操作やポンプの急な運転、停電などによるポンプの急停止などが挙げられます。
《対策》
・バルブをゆっくりと開閉する
・停電による急停止に備えて、ポンプにフライホイールを設置する
などがあります。
4.チョーキング
《現象》
配管内の液体に気泡が混入しており、流れを邪魔することで吐出し流量が上昇しなくなる現象です。流量調整弁を開いたり、配管抵抗を減らしても流量が頭打ちとなってしまいます。
《原因》
キャビテーションが進行してしまうことで発生します。
《対策》
キャビテーションの対策に準じます。
5.旋回失速
《現象》
羽根の入口に流れ込む流体の本来の角度からずれることで、羽根表面に沿って流れてた流体が剥離してしまいます。そうなることで流れる角度が更にずれて他の羽根へと伝播し、吐出し流量が減少します。更に進行していくと、配管全体の現象であるサージングが発生します。
《原因》
羽根車入口の流量を、設計より少なくしてしまうことで発生します。
《対策》
設計の範囲内の流量を確保することです。
【解答】
1) 解答
(9) エ
題意より解答候補は、(エ)運動エネルギー、(オ)有効エネルギー、(エ)運動量、になると思います。
密度:\( \rho \)、重力加速度\( g \)、吸込水面から羽根車までの高さ:\( H \)、流速:\( v \)、大気圧:\( P_{a} \)とし、吸込水面と羽根車の各エネルギー総量は図のようになります。

\[
\Large \textbf{図2}
\]
図をもとに、各エネルギー総量をベルヌーイの定理で表します。
\[
\begin{eqnarray}
P_{a} &=& \rho g H + \frac{1}{2} \rho v^2 + P_{l} + P_{b} \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
の関係となります。
上式より、吸込水面で保有していた大気圧のエネルギーは、位置エネルギー・運動エネルギー・損失エネルギーに変化します。残された圧力エネルギーは、大気圧のエネルギーを下回ることが分かります。
(10) ア
題意より解答候補は、(ア)圧力損失、(イ)温度損失、(ウ)速度損失、になると思います。
(9)解説の式より、損失エネルギーは圧力損失にあたります。
補足として、圧力損失は下記のダルシー・ワイスバッハの式によって表されます。
摩擦係数:\( \lambda \)配管長さ:\( \mathrm {L}\)、配管内径:\( \mathrm {D}\)とし、
\[
\begin{eqnarray}
P_{l} &=& \lambda \cdot \dfrac{L}{D} \cdot \dfrac{\rho \, v^2}{2} \ \mathrm{[Pa]} 又は\mathrm{[J]} \\[5pt]
\end{eqnarray}
\]
この式の中に運動エネルギー:\( \dfrac{1}{2} \rho v^2 \)が含まれていることから、運動エネルギーに比例して圧力損失が増加、それによって羽根車入口部の圧力:\( P_{b} \)は低下します。
2) 解答
(11) コ (12) ア
題意より、
(11)の解答候補⇒(ケ)定常、(コ)飽和、(サ)臨界
(12)の解答候補⇒(ア)キャビテーション、(イ)サージング、(ウ)チョーキング、(エ)水撃作用、(オ)旋回失速
になると思います。
ワンポイント解説\( 1 \)の通り、羽車入口部の圧力が飽和圧力を下回ることで、キャビテーションが発生します。
(13) キ
題意より解答候補は、(カ)ポンプ効率、(キ)吸込比速度、(ク)全揚程、になると思います。
幾何学的に相似なポンプにおけるキャビテーションの発生条件は、吸込比速度によって表すことができます。
吸込比速度:\( \mathrm {S}\)は、設計段階においてキャビテーションを起こさない為の指標を表しています。
羽根車回転速度\( \mathrm {N}\): 配管内流量:\( \mathrm {Q}\) 必要有効吸引ヘッド:\( \mathrm {H}\)とし、
\[
\begin{eqnarray}
\mathrm {S} &=& \mathrm {N}\frac{ \sqrt{Q}}{\mathrm {H}^{\frac{3}{4}}} \\[5pt]
\end{eqnarray}
\]
の式で表されます。
「設備における吸込比速度を上回ると、キャビテーションが起きやすくなる」ということを表しており、「流量や回転速度を上げると吸込比速度が上昇するから、キャビテーションが起きにくくなる」と履き違いないように注意してください。
3) 解答
(14) オ (15) イ
題意より、
(14)の解答候補⇒(オ)増加に従い全揚程が増加する、(カ)増加に従い全揚程が減少する、(キ)増加によって全揚程が変化しない
(15)の解答候補⇒(ア)キャビテーション、(イ)サージング、(ウ)水撃作用、(エ)旋回失速
になると思います。
ワンポイント解説\( 2 \)の通り、ポンプを揚程曲線の吐き出し量の増加に従い全揚程が増加する(右上がり)部分で運転すると、激しい振動や騒音が発生します。この現象をサージングといいます。
(16) ウ
題意より解答候補は、(ア)キャビテーション、(イ)サージング、(ウ)水撃作用、(エ)旋回失速、になると思います。
ワンポイント解説\( 3 \)の通り、停電などによってポンプが急停止すると、管路の流速や圧力の急激な変化によって水撃作用が起こり、発生した高圧力がハンマーのような衝撃となり、配管を破壊することがあります。
補足としてこの現象をさらに深掘ると、ポンプの急停止やバルブの急な閉操作により、すぐ後面に真空の空間が発生します。これにより、
・配管内の圧力が大気圧を下回ってしまうことによる配管壁の内側への凹み
・真空空間への流体の逆流による衝撃
などのケースもあります。


