《熱》〈課目Ⅲ〉[問題8](1)燃料及び燃焼管理 水素及び炭素成分燃料の燃焼に関する計算問題

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【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)
\[
\begin{eqnarray}
\end{eqnarray}
\] 次の各文章の\( \ \boxed {   1\strut   } \sim \boxed {   9\strut   } \ \)の中に入れるべき最も適切な字句等をそれぞれの解答群から選び、その記号を答えよ。

(1) 燃料中の主な可燃成分は炭素\( \mathrm {C} \)及び水素\( \mathrm {H} \)であり、その成分比はモル比\( \mathrm {H/C}\)を用いて表される。 

1) 各種燃料の\( \mathrm {H/C}\)は石炭が\( 0.8 \)程度と最も小さく、石油系液体燃料が\( \ \boxed {   1\strut   } \ \)程度であるのに対して、メタンは\( \ \boxed {   2\strut   } \ \)となっている。また、炭素成分を含まない燃料としての水素は、概念的に\( \mathrm {H/C}\)が極めて大きい特殊な燃料として評価される。

<\( \ \boxed {   1\strut   } \ \)及び\( \ \boxed {   2\strut   } \ \)の解答群>
\[
\begin{eqnarray}
&ア& 1.8     &イ& 3.2     &ウ& 4     
&エ& 4.8   &&      && \\[ 5pt ]     
\end{eqnarray}
\]

2) 標準大気圧、温度\( 25 \, \mathrm{^\circ C} \)における高発熱量は、\( \mathrm {kmol}\)当たりでは水素\( \mathrm { H_{2}} \)が\( \mathrm {286MJ/kmol}\)、メタンは\( \mathrm {891MJ/kmol}\)である。一方、\( \mathrm {kg} \)あたりでは、水素は\( \ \boxed {   3\strut   } \ \)\( \mathrm {[MJ/kg]}\)、メタンは\( \ \boxed {   4\strut   } \ \)\( \mathrm {[MJ/kg]}\)となり、\( \mathrm {H/C}\)の小さな石炭や石油系液体燃料と比べると高い値を示す。これは、\( \ \boxed {   5\strut   } \ \)当たりの発熱量が、水素\( \mathrm {H} \)の方が炭素\( \mathrm {C} \)よりも大きいことによる。

<\( \ \boxed {   3\strut   } \ \)~\( \ \boxed {   5\strut   } \ \)の解答群>
\[
\begin{eqnarray}
&ア& 50  &イ& 56  &ウ& 74 &エ& 143   &オ& 286  &カ& 572  \\[ 5pt ] &キ& モル   &ク& 質量   &ケ& 体積   &&    &&   &&&&  \\[ 5pt ]     
\end{eqnarray}
\]

3) 燃焼によって、炭素からは二酸化炭素が発生し、水素からは水が発生する。そのうち、二酸化炭素は、地球温暖化物質として排出量の制限を受ける物質である。このため、燃料中の\( \mathrm {H/C}\)の値はできるだけ\( \ \boxed {   6\strut   } \ \)方が望ましいといえる。

<\( \ \boxed {   6\strut   } \ \)の解答群>
\[
\begin{eqnarray}
&ア& 大きい     &イ& 小さい     &&      
&&    &&        \\[ 5pt ]     
\end{eqnarray}
\]

4) ある動力システムにおいて、稼働用燃料として石油系液体燃料、(\( \mathrm {H/C}\)比は前述の石油系液体燃料の概略値で高発熱量が\( \mathrm {45 MJ/kg}\))を使用して、二酸化炭素を排出している。

 ⅰ) 燃料をメタンに変えたときに、同じ熱量を得るための二酸化炭素の排出量の削減効果を試算する。ここで、二酸化炭素が\( \mathrm {1kmol}\)発生するときの熱量については、石油系液体燃料は、高発熱量と\( \mathrm {H/C}\)から約\( \ \boxed {   7\strut   } \ \)\( \mathrm {[MJ]}\)となり、一方、メタンは2)で示した\( \mathrm {kmol}\)当たりの発熱量となる。これから、二酸化炭素の排出量を約\( \ \boxed {   8\strut   } \ \) \( \mathrm {[\%]} \)削減できることが分かる。

<\( \ \boxed {   7\strut   } \ \)及び\( \ \boxed {   8\strut   } \ \)の解答群>
\[
\begin{eqnarray}
&ア& 15  &イ& 20  &ウ& 30 &エ& 35   &オ& 45  \\[ 5pt ] &カ& 540   &キ& 590   &ク& 620   &ケ& 710   &&    &&   && \\[ 5pt ]     
\end{eqnarray}
\]

 ⅱ) さらに、燃料を水素に替えれば、燃焼地点での二酸化炭素の排出量はゼロとなるが、実質的にもゼロと評価されるためには、水素が\( \ \boxed {   9\strut   } \ \)由来であることが前提である。

<\( \ \boxed {   9\strut   } \ \)の解答群>
\[
\begin{eqnarray}
&ア& メタン  &イ& 再生可能エネルギー  &ウ& 重油  &エ& 石炭   &&     \\[ 5pt ]     
\end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

水素及び炭素成分燃料の燃焼に関する計算問題です。\( \mathrm {H/C}\)の意味合いと、化学式における単位換算さえ理解していれば、得点源となる問題です。また、問題中の炭素や水素などの分子量やメタンなどの化学式の前提知識は、必ず理解しておくようにしてください。

1.\( \mathrm {H/C}\)比
\( \mathrm {H/C}\)比とは、炭素原子に対する水素原子の数を表す指標のことを言い、見た目の通り、
\[
\begin{eqnarray}
\dfrac{\text{水素原子の数}}{\text{炭素原子の数}}
\end{eqnarray}
\] で算出することができます。
例えばエタン\( \mathrm { C_{2} H_{6} } \)の\( \mathrm {H/C}\)は、水素原子\( \mathrm {H}\)が\( 6 \)個、炭素原子\( \mathrm {C}\)が\( 2 \)個ですので、
\[
\begin{eqnarray}
\dfrac{H}{C} &=& \dfrac{6}{2} \\[5pt] &=& 3 \\[5pt] \end{eqnarray}
\] となります。

2.モル質量と分子量
モル質量は、\( \mathrm {1mol}\)当たりの\( \mathrm {g}\)数を表す指標のことを言い、単位は、\( \mathrm {[g/mol]}\)となります。
分子量(原子量)は、炭素\( \mathrm {1mol}\)当たりの原子量\( 12 \)を基準にした物質の質量を表しますが、エネ管受験においては、「モル質量と同じ」と認識しても問題有りません。

各原子量は、下記表の通りです。
\begin{array}{|c|c|c|c|c|c|}
\hline
原子 & 水素 & 炭素 & 酸素 & 窒素 & 硫黄 \\
\hline
原子量 \mathrm {[g/mol]}&1 & 12 & 16 & 14 & 32 \\
\hline
\end{array}

【解答】

1) 解答

(1) ア
石油系液体燃料の\( \mathrm {H/C}\)は、 \( 1.6~2.0 \)ですので、解答群の中では、\( 1.8 \)が該当します。
この数値は暗記するしかありません。

(2) ウ
メタン\( \mathrm { C H_{4} } \)の\( \mathrm {H/C}\)は、水素原子\( \mathrm {H}\)が\( 4 \)個、炭素原子\( \mathrm {C}\)が\( 1 \)個ですので、ワンポイント解説\( 1 \)の通り計算しますと、
\[
\begin{eqnarray}
\dfrac{H}{C} &=& \dfrac{4}{1} \\[5pt] &=& 4 \\[5pt] \end{eqnarray}
\] となります。

2) 解答

(3) エ
水素\( \mathrm { H_{2}} \)の高発熱量単位を、\( \mathrm {[MJ/kmol]}\)から\( \mathrm {[MJ/kg]}\)に換算する問題です。\( \mathrm { H_{2}} \)のモル質量は\( \mathrm {2[g/mol]}\)ですので、\( \mathrm {1kmol}\)当たり\( \mathrm {2kg}\)含まれていることになります。よって、
\[
\begin{eqnarray}
\dfrac{286}{2} &=& 143 \mathrm {[MJ/kg]} \\[5pt] \end{eqnarray}
\] となります。

(4) イ
水素と同じ要領で、メタン\( \mathrm { C H_{4} } \)の高発熱量単位を換算します。メタンの分子量は\( 16 \)ですので、
\[
\begin{eqnarray}
\dfrac{891}{16} &≒& 55.688 \mathrm {[MJ/kg]} \\[5pt] \end{eqnarray}
\] 解答群より\( \mathrm {kg}\)当たりの高発熱量は、56\( \mathrm {[MJ/kg]}\)となります。

なお、高発熱量は基本的に問題文に書かれている為、覚えてなくても大丈夫です。

(5) ク
題意より解答候補は、(キ)、(ク)、(ケ)、になると思います。
\( \ \boxed {   3\strut   } \ \)、\( \ \boxed {   4\strut   } \ \)で求めた通り、水素の方が質量当たりの発熱量が大きいことが分かります。

3) 解答

(6) ア
ワンポイント解説1の通り、\( \mathrm {H/C}\)は炭素原子に対する水素原子の数の割合を表しています。この値が大きい程、相対的に炭素の割合が少なくなる為、二酸化炭素の発生を抑えることができます。

4) 解答

(7) ク
\( \ \boxed {   1\strut   } \ \)で求めた通り、石油系液体燃料の\( \mathrm {H/C}\)は、\( 1.8 \)ですので、分子で表すと、\( \mathrm { C H_{1.8} } \)と考えることができます。その上で、石油系液体燃料\( \mathrm {1kmol}\)当たりの質量は、
\[
\begin{eqnarray}
12 + (1 \times 1.8 ) &=& 13.8 \mathrm {[kg/kmol]} \\[5pt] \end{eqnarray}
\] となります。
二酸化炭素が\( \mathrm {1kmol}\)発生するときの熱量\( \mathrm {Q}\)は、
\[
\begin{eqnarray}
45 \times 13.8 &=& 621 \mathrm {[MJ]} \\[5pt] \end{eqnarray}
\] となります。

(8) ウ
石油系液体燃料をメタンに変えた時の二酸化炭素排出量の削減比を求める問題であることから、メタンを基準としたこれらの発熱量の差から求めることができます。
発熱量の差は、
\[
\begin{eqnarray}
891-621 &=& 270 \mathrm {[MJ]} \\[5pt] \end{eqnarray}
\] です。
二酸化炭素排出量の削減比は、
\begin{eqnarray}
\dfrac{270}{891} \times 100 &=& 30.3 \ \mathrm{[\%]}
\end{eqnarray}
となります。

(9) イ
解答群を見ると、再生可能エネルギー以外の燃料には炭素が含まれていることがイメージできます。よって、再生可能エネルギーが正解になります。