【問題】
【難易度】★★★☆☆(普通)
\[
\begin{eqnarray}
\end{eqnarray}
\]
次の各文章の\( \ \boxed { 1\strut } \ \)~\( \ \boxed { 7\strut } \ \)の中に入れるべき最も適切な字句等をそれぞれの解答群から選び、その記号を答えよ。
(1) 火力発電所等のボイラは、燃料を燃焼して熱エネルギーに変えて、蒸気タービンに送る蒸気を発生している。一方、ボイラで発生する燃焼排ガスの環境規制値を守るため、次のようなことが運転や設備上で考慮されている。
1) ボイラでの燃焼に伴って発生する NOx の抑制方法として、燃焼の改善及び燃料の改善がある。
i) 燃焼の改善では、主な要素として次の①~③が挙げられる。
① 燃焼域での酸素濃度を\( \ \boxed { 1\strut } \)する。
② 高温域での燃焼ガスの滞留時間を短くする。
③ バーナでの\( \ \boxed { 2\strut } \)を低くする。
具体例として燃焼過程を\( 2 \)段階に分割し、\( 1\)段目で\( \ \boxed { 3\strut } \)燃焼を行わせて\( \mathrm{NO}_{\mathrm{x}} \)を還元し、\( 2 \)段目で完全燃焼させる\( 2 \)段燃焼法などがある。
<\( \ \boxed { 1\strut } \)~\( \ \boxed { 3\strut } \)の解答群 >
\[
\begin{array}{l}
\rlap{\text{ア} \quad \text{希薄予混合}}\hspace{233px}\rlap{\text{イ} \quad \text{燃料過濃}}\hspace{233px}\rlap{\text{ウ} \quad \text{燃料希薄}}\hspace{233px} \\[5pt]
\rlap{\text{エ} \quad \text{燃焼位置}}\hspace{233px}\rlap{\text{オ} \quad \text{燃焼温}}\hspace{233px}\rlap{\text{カ} \quad \text{未燃分比率}}\hspace{233px} \\[5pt]
\rlap{\text{キ} \quad \text{高く}}\hspace{233px}\rlap{\text{ク} \quad \text{低く}}\hspace{233px}\rlap{\text{ケ} \quad \text{維持}}\hspace{233px}
\end{array}
\]
ii) 燃料の改善は、\( \ \boxed { 4\strut } \)の少ない燃料を使用することである。
<\( \ \boxed { 4\strut } \)の解答群 >
\[
\begin{array}{l}
\rlap{\text{ア} \quad \text{硫黄分}}\hspace{233px}\rlap{\text{イ} \quad \text{炭素分}}\hspace{233px}\rlap{\text{ウ} \quad \text{窒素分}}\hspace{233px}
\end{array}
\]
2) ボイラ排ガス中の硫黄酸化物や窒素酸化物を除去する方式には、いずれも乾式法と湿式法の二つがある。
i) 硫黄酸化物を除去する排煙脱硫装置
乾式法の中には、二酸化硫黄を活性炭に吸着させた後、再生及び回収工程を経て硫酸や\( \ \boxed { 5\strut } \)として回収する、活性炭法と呼ばれる方法がある。
一方、湿式法には石灰石膏法、水酸化マグネシウム法、ソーダ吸収法などがある。これらのうち、大容量処理に適し、脱硫性能が高く、実績も豊富な方法は、\( \ \boxed { 6\strut } \)である。
ii) 窒素酸化物を除去する排煙脱硝装置
一般的には、乾式法のうちの選択式接触還元法が用いられる。その還元剤には\( \ \boxed { 7\strut } \)が用いられ、これを排ガス中に注入し、その下流に設置される触媒の作用により、窒素酸化物を窒素ガスに還元する。
<\( \ \boxed { 5\strut } \)~\( \ \boxed { 7\strut } \)の解答群 >
\[
\begin{array}{l}
\rlap{\text{ア} \quad \text{アンモニア}}\hspace{233px}\rlap{\text{イ} \quad \text{硫黄}}\hspace{233px}\rlap{\text{ウ} \quad \text{塩化マグネシウム}}\hspace{233px} \\[5pt]
\rlap{\text{エ} \quad \text{過酸化水素}}\hspace{233px}\rlap{\text{オ} \quad \text{硫化水素}}\hspace{233px}\rlap{\text{カ} \quad \text{ ソーダ吸収法 }}\hspace{233px} \\[5pt]
\rlap{\text{キ} \quad \text{水酸化マグネシウム法}}\hspace{233px}\rlap{\text{ク} \quad \text{石灰石膏法}}\hspace{233px}\hspace{233px}
\end{array}
\]
【ワンポイント解説】
燃焼排ガス抑制と除去方法に関する知識問題です。窒素酸化物と硫酸化物は公害の原因となるため、対策する必要があります。ここでは問われてませんが、燃料の不完全燃焼により発生するばいじん対策も同様に大事となりますので、合わせて覚えるようにしてください。
1.窒素酸化物 \( \mathrm{NO}_{\mathrm{x}} \)
窒素酸化物には、燃料内の窒素成分によるフューエル \( \mathrm{NO}_{\mathrm{x}} \)、燃焼過程において発生するサーマル \( \mathrm{NO}_{\mathrm{x}} \)の\( 2 \)種類があります。
\( \underline{\mathrm{ 1-1. 発生原因 }} \)
〈フューエル \( \mathrm{NO}_{\mathrm{x}} \)〉
窒素成分が多く含まれる燃料(石炭や石油等)の使用
〈サーマル \( \mathrm{NO}_{\mathrm{x}} \)〉
➀ 燃焼時の酸素量が多い
➁ 燃焼温度が高い
➂ 高温域での燃焼ガスの滞留時間が長い
\( \underline{\mathrm{ 1-2 .抑制方法}} \)
\( 1-1 \)の原因と逆のことをすることで抑制することができます。
〈フューエル \( \mathrm{NO}_{\mathrm{x}} \)〉
窒素成分が少ない燃料(\( \mathrm{LNG} \)等)の使用
〈サーマル \( \mathrm{NO}_{\mathrm{x}} \)〉
➀酸素濃度を抑える
➁最高燃焼温度を低く抑える
➂高温域での燃焼ガスの滞留時間を短くする
ただし、これらの対策で酸素濃度や燃焼温度などを抑えすぎると、燃料の不完全燃焼によるばいじんの発生原因となります。これらの対策として、二段燃焼などを用います。
\( \underline{\mathrm{ 1-3. 排煙脱硝装置 }} \)
排煙内の窒素酸化物を除去する脱硝装置は主に、乾式法である選択式接触還元法が用いられます。還元剤であるアンモニア \( \mathrm{NH}_{\mathrm{4}} \)と窒素酸化物と反応させ、無害な窒素へと還元します。
二酸化窒素\( \mathrm{NO}_{\mathrm{2}} \)を例に、反応式を表します。
\[
\begin{eqnarray}
\mathrm{NO}_{\mathrm{2}} + \mathrm{NH}_{\mathrm{4}} &=& \mathrm{N}_{\mathrm{2}} + 2\mathrm{H}_{\mathrm{2}}\mathrm{O}
\end{eqnarray}
\]
2.硫黄酸化物 \( \mathrm{SO}_{\mathrm{x}} \)
硫黄酸化物は、燃料に含まれる硫黄成分を燃焼することで発生します。環境対策として、硫黄成分が少ない燃料の選定や発生した後の硫黄酸化物を脱硫する方法が用いられます。排煙脱硫法について深掘りしていきます。
\( \underline{\mathrm{ 2-1. 乾式法 }} \)
乾式法の一種である活性炭法は、排ガス中の硫黄酸化物と水分と残った酸素を活性炭で吸着させ、各成分を反応させる方式です。活性炭の表面には無数の小さい穴が開いており、この中で下気のような化学反応を起こし、硫酸を生成します。
\[
\begin{eqnarray}
\mathrm{SO}_{\mathrm{2}} + \frac{1}{2}\mathrm{O}_{\mathrm{2}} + \mathrm{H}_{\mathrm{2}}\mathrm{O} &=& \mathrm{H}_{\mathrm{2}}\mathrm{SO}_{\mathrm{4}}
\end{eqnarray}
\]
また、硫黄酸化物を吸着させた活性炭を再利用すべく、加熱させることで再び硫黄酸化物を生成します。その硫黄酸化物から酸素を還元することで、硫黄を生成します。
※この時の反応式は、やや複雑なため、割愛します。
\( \underline{\mathrm{ 2-2. 湿式法 }} \)
湿式法は主に、石灰石膏法が用いられます。この方法は、石灰を水に溶かしてスラリー状にし、脱硫装置で雨のように硫黄酸化物にかけることで石膏ボードに変化させ、脱硫します。なお、石灰は学校のグラウンドの白線に使用される白い粉と同じ成分(炭酸カルシウム)です。
【解答】
1) 解答
(1) ク
題意より解答候補は、(キ)、(ク)、(ケ)になると思います。ワンポイント解説\(1-2\)の通り、燃焼域での酸素濃度を低くします。
(2) オ
題意より解答候補は、(エ)、(オ)、(カ)になると思います。ワンポイント解説\(1-2\)の通り、燃焼温度を低くします。
(3) イ
題意より解答候補は、(ア)、(イ)、(ウ)になると思います。二段燃焼の一段目で燃料過濃燃焼を行わせることで、\( \mathrm{NO}_{\mathrm{x}} \)を還元させます。これは、一段目であえて不完全燃焼にさせることで、一酸化炭素\( \mathrm{CO} \)や水素\( \mathrm{H}_{\mathrm{2}} \)等を発生させ、\( \mathrm{NO}_{\mathrm{x}} \)から酸素\( \mathrm{O}_{\mathrm{2}} \)を還元することで、無害な窒素\( \mathrm{N}_{\mathrm{2}} \)に変えます。
(4) ウ
ワンポイント解説\(1-2\)の通り、窒素分の少ない燃料を使用することでフューエル \( \mathrm{NO}_{\mathrm{x}} \)を抑えることができます。
2) 解答
(5) イ
題意より解答候補は、(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)、(オ)になると思います。ワンポイント解説\(2-1\)の通り、活性炭法により、硫酸や硫黄として回収し、脱硫します。
(6) ク
題意より解答候補は、(カ)、(キ)、(ク)になると思います。ワンポイント解説\(2-2\)の通り、湿式法は石灰石膏法が主流です。脱硫装置の湿式法については最低限、石灰石膏法を覚えおくと問題無いと思います。
(7) ア
題意より解答候補は、(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)、(オ)になると思います。ワンポイント解説\(1-3\)の通り、アンモニアを還元剤として使用します。



